補助金申請の報酬と採択率の関係について
先日、弊所にお電話をいただいた方から「報酬が高いので、依頼は控えたい」旨のお話を伺いました。
高い・安いは相対的な判断なのですが、「報酬の多寡と採択率の関係」について、ものづくり補助金総合サイトに興味深いデータが示されていますので、ご紹介させていただきます。
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ものづくり補助金のデータについて
ものづくり補助金総合サイト「データポータル」では、令和元年度補正予算事業・令和2年度補正予算事業のこれまでの申請及び採択状況のデータをまとめています。
★ものづくり補助金総合サイト「データポータル」
その中に、「支援者の関与(補助金に対する報酬の比率)」という項目があり、「支援の有無・報酬割合」と「採択率」に関するデータを公表しています。
※ いずれも左から順に「支援なし」、「支援あり/報酬なし」、「支援あり/報酬〜5%」、「支援あり/報酬〜10%」、「支援あり/報酬〜15%」、「報酬それ以上」を示しています。
データの分析について
このデータにおいて注目すべきは、以下の点だと考えます。
〇半数が「支援なし」で申請している。
〇「支援なし」よりも「支援あり」の採択率が高く、最大で2割程度の差異がある。
〇報酬割合が高いほど、採択率が高くなる傾向がある。
報酬割合と採択率の関係については、報酬5%まで<報酬10%まで<報酬15%までの順で、採択率が向上していることが明確に読み取れます。
なお、「報酬15%超」の採択率が「報酬15%まで」よりも低くなっていますが、母数が少ないため、データとしての価値は小さいと考えます。
また、「支援あり/報酬なし」というグループが2割程度存在し、「支援なし」よりも採択率がよく、採択率に関しては「報酬5%まで」のグループに肉薄していることが注目されます。
ただ、このグループは、融資先(金融機関)等から支援を受けたものと考えられ、融資先に支払う金利負担などが「報酬」に相当するものと考えられるため、実質的には「報酬5%まで」グループに相当するものと考えられます。
くわえて、このグループにおいても「報酬15%まで」のグループと比較すると、15%近い採択率の開きがあることは、「報酬と採択率」の相関関係を如実に表しているといえます。
これは、弊所のような補助金申請をサポートする立場から考えると当然のことで、「報酬15%の仕事」であれば「報酬5%の仕事」よりも3倍時間をかけることができるため、それだけ丁寧に申請書類を作成し、採択率を高められることが、データとして表れているからと説明できます。
申請者様の立場から考える
以上を踏まえて、申請者様の立場で考えると、以下の3つの方針があると考えられます。
申請方針 | 採択率 |
@支援なし | 4割程度 |
A支援あり/報酬10%まで | 5割程度 |
B支援あり/報酬15%まで | 6割程度 |
※「支援あり/報酬なし」は、融資先などへの金利負担などから、実質的には「報酬5%まで」のグループに入ると考え、Aグループに含まれると考えます。
これをふまえて、補助金の「期待値」と「想定費用」さらには「便益」を概算してみます。
ものづくり補助金(一般型)における補助金額が1000万円であるため、採択率が4割であれば「期待値:400万円(1000万円×0.4)」、報酬額が10%であれば「想定費用:100万円(1000万円×0.1)」といった具合に算出します。
そして、期待値から想定費用を引いたものを、「便益」と仮定します。
申請方針 | 想定費用 | 期待値 | 便益 |
@支援なし | 0円 | 400万円 | 400万円 |
A報酬10% | 100万円 | 500万円 | 400万円 |
B報酬15% | 150万円 | 600万円 | 450万円 |
そうすると、意外なことに、最も便益が大きくなるのが、報酬割合の高い「B報酬15%」の場合であることが伺えます。
くわえて、「@支援なし」と「A報酬10%」の便益が同じ数値(400万円)となりますが、果たして、これは実質的に「同じ便益」といえるでしょうか。
確かに、数値上の便益はどちらも同じ400万円ですが、「A報酬10%」の場合にはアウトソーシングできた作業(事業計画書の作成など)を、「@支援なし」の場合には申請者自身で負担することになり、申請報酬以外の負担を考慮すると、「@支援なし」の便益は、「A報酬10%」に劣ると考えられます。
すなわち、感覚的には、「@支援なし」のほうが、負担も少なく便益も多くなると思いがちですが、今回のデータからは、反対の結論(「@支援なし」のほうが負担も多く、便益も少ない)という結論が導かれます。
【結論】申請報酬は高いのか?
さて、最初の話に戻りますが、申請報酬は「高い」のでしょうか?
まず、「報酬割合が高いほうが、採択率が高まる」ことは、データから読み取れます。
くわえて、期待値から想定費用を引いた「便益」という観点からも、「報酬割合が高いほうが、メリットが大きい」ことが伺えます。
そのため、申請報酬は、決して「高い」ものではなく、得られるメリットに比して負担の少ない「お値打ち価格」であると考えます。
「高い」「安い」という判断は感覚的なものでもあるため、一方的な決めつけは致しかねますが、補助金を積極的に活用している企業は、この仕組みに気づいていることをご理解いただけると幸いです。。
★補足★
このように、弊所は、お客様の事業内容を、データを駆使して、説得的に説明させていただきます。補助金申請をお考えの方は、ぜひ弊所の活用をご検討ください。